平成9年2月10日より
経済コラムマガジン




03/9/22(314号)
ドキュメンタリー総裁選

  • 臨時志帥会
    筆者は、20日土曜日の2時に砂防会館の志帥会の事務所に、もう一人のメンバーと共に訪れた。総裁選の開票結果を間近で見るためである。2週間ほど前に志帥会の事務局長と話をして、開票当日は慰労会をやろうという話になっていた。筆者達は、事務室のテレビを見ており、議員の秘書の方々は隣の会議室に集まり、同様にテレビ中継を見ていた。

    党員票の開票状況が逐次入ってきた。小泉氏が断然リードである。そしてテレビが開票結果を放送し始めた。会議室の方がドォーと沸いたのは、亀井さんが議員票が66票獲得したと放送があった時である。会議室から拍手が聞こえた。ただ党員票の方は73票と何とも言えない数字である。しかし合計で139票、堂々の第二位である。亀井さんを始め、関係者の努力の賜物である。

    新聞を始め、マスコミは「小泉圧勝」と報道していたが、これは事実と違う。これは負け惜しみではない。小泉陣営にとっては、党員票数の方は予想の下限と思われる。そして議員票は予想を相当下回っているはずである。小泉陣営は、議員票が最低でも210は行くと踏んでいたと思われる。結果は194票だから16票も下回ったことになる。過半数が179票だから、これをわずか15票上回っただけである。

    実際、開票結果が出て、小泉陣営は凍り付いていたと立会った議員は話をしていた。ところが世間では、小泉圧勝という捉え方をしているのである。自民党の若手が推薦人が19人しか集まらず、立候補者を断念したり、堀内派が独自候補を直前で断念した。もしこの二人が立候補していたなら決戦投票にもつれ込んでいた可能性が大きい。まさに今回は辛勝であり、どちらにでも転がったのである。


    思えば、不思議な事が重なっている。イラク戦争やSARS騒動で、世界の各国の経済が不調だったのに、日本だけは4ー6月プラス成長であった。しかしGDPはプラス成長なのに、輸入はマイナスといった変な数字はあるが、内閣府はとにかくプラス成長と発表している。また株価も4月を底に外人買いで上昇を続けている。さらに米国からの牽制発言があるのに、当局は総裁選直前まで為替介入を止めないという奇妙なことが続いていた。

    これらのことの全てが小泉再選にプラスであったと考える。マスコミはこれらを「小泉さんは運が良い」と片付けているが、彼等はちゃんと裏側を取材しているのかと文句を言いたい。これについては、来週号以降でも取上げたい。


    臨時党大会が終わり、志帥会の議員が自民党本部から砂防会館に戻る。議員一人ずつ総裁選の打上げが行われる会議室に入って行った。入口辺りで、議員は、笑顔で秘書団や志帥会のスタッフに互いの健闘を讃えていた。国会議員の最後は亀井さんである。拍手が一段と高くなる。亀井さんは秘書やスタッフの一人一人と硬く握手し、労をねぎらっていた。スタッフの中には何人かのパートのおばさんと思われる人々もいたが、分け隔てなく全ての人と強く握手して回っていた。

    これまで何回も会っていない我々にも笑顔で、「ご苦労さん」と声を掛けてくれた。また後程また声を掛けてくれ、六本木での勝手連のオフ会をもう一度やろうと言ってくれた。亀井さんは、近くにいる人ほど「良い人だ。すばらしい人物だ」と賞賛する。

    世間には、亀井さんに対して誤解がある。警察出身ということで、取っ付きにくいというイメージがあるかもしれない。しかしご本人は全く違う。警察時代には、亀井さんは上の人とはあまり付合わないタイプであった。逆に酒を飲むのはいつも下の人ばかりであった。世間には上ばかり見ている人が多い。いわゆる平目と言われる人々である。また遠目には美しいが、近付くにつれあばたやゴミが目立つ人がいる。富士山のような人である。亀井さんこのような人々と正反対の人物である。


  • 総裁選の裏側
    ほどなく会議室で臨時の志帥会が開かれた。なんと我々二人は特別にこの中に入ることが許された。報道関係者を除けば、外部の者は我々二人だけである。亀井さんから勝手連の人々だと紹介してもらった。まず江藤会長や中曽根顧問の関係者の労をねぎらう話があった。続いて総裁選を総括を担当された議員の方の総裁選結果の分析が説明された。最後に亀井さんが挨拶を行った。メンバーの総裁選への協力への感謝と、次に控えている総選挙への決意が表明された。

    秘書達も会議室に入り、乾杯が行われた。何人かの議員の方々の挨拶があった。総裁選の無念さはあったが、決して雰囲気は暗くなかった。むしろ次に控えた総選挙に対する緊張感みたいなものを感じた。しばらくして多少込み入った話になって来たので、我々は会議室を出た。隣の事務室でビールを飲んでいると、志帥会の方も終了し、次々と議員の方々が我々の前を通って帰って行った。中には我々の前に来て一緒にビールを飲みながら総裁選の話をされる議員の方も何人かいた。内輪の話を聞くと、かなり激しい総裁選であったことが改めて知らされた。

    帰ろうとすると、別室に志帥会担当の報道関係者が集まっており、我々も中に入れということになった。いわゆる記者懇談会というものである。江藤会長から焼酎の差入れがあり、議員も何人か入って、酒を飲みながら総裁選について話をした。どうも江藤会長と記者との間で、獲得票数の賭けが行われていたみたいである。ほぼ記者達の予想が当っていたようである。


    マスコミは小泉圧勝という捉え方をしている。しかし実際は、小泉陣営は薄氷の勝利だったのである。たしかに世間の関心は、序盤戦こそ盛上がったが、直前になるほど薄くなった。亀井静香勝手連のホームページ亀井静香勝手連のホームページhttp://www.nb-j.co.jp/katterenのアクセス数の推移を見てもこれがはっきりしている。

    総裁選の終盤、激しさを増した頃から、奇妙なことに小泉再選間違いなしという報道が行われ始めたのである。これが選挙結果にどのような影響があったかのか微妙である。特に党員票の投票率が最終場面で高くなっている。これは小泉陣営の巻き返しがあったからと見る。選挙結果はこのように、世間で認識されているよりずっと僅差だったのである。小泉陣営が焦ったのは、高村候補が議員が思った以上に議員票を獲得したことであろう。


    世間の関心とは別に、今回の総裁選は極めて激しいものであった。怪文書が出回ったり、有力議員の立候補に邪魔が入ったりした。我々のホームページの掲示板にも怪文書まがいの投稿が数限りなく行われた。事務局のアドレスにも信じられないくらいの大量のウィルスメールが送られてきており、実害を受けている。メールアドレスを公開して投稿していた人のところにもウィルス攻撃がなされていた。志帥会の国会議員の中には毎日脅迫電話がかかっていたと話している人もいた。

    しかし不思議なことに我々のホームページへの攻撃は、15日をもってピタリと止んだ。あれほど激しかった攻撃がななくなったのである。このことを記者懇談会で話をしたら記者達は皆驚いていた。しかしこのような謀略めいた裏話は、新聞・テレビには全く出ない。わずかに週刊誌が、反小泉発言を行った政治評論家の中村慶一郎氏が、あるテレビ局から降版させられた話を取上げたくらいである。この話は前から聞いていた。とにかく小泉再選が当り前という風潮が、マスコミによって作り出されたのである。しかし最終局面で議員票のかなりの数が反小泉に向き、政治家の気骨を示したことが今回の総裁選であったと総括される。

    断わっておくが、このような謀略活動を誰がやっていたのか筆者達には分らない。単純な話ではなさそうである。とにかく表向きのはなやかな顔と違って、裏側では激しい選挙戦が行われていたのである。また党員選挙は、決して自由な選挙ではなく、組織選挙そのものということである。亀井さんは約25%を獲得したが、これは浮動票の大半を獲得したということを意味している。つまり自民党党員の間で本当に人気があるのは亀井さんの方なのである。正直に言って、党員は一般の有権者と同様に、人気のある小泉氏に投票したという解説がなされていたが、これは全くのデタラメである。イメージだけなら高村候補がもっと党員票を集めていたはずである。

    最後に、今回の総裁選は、激しかっただけでなく、小泉陣営は相当な無理をしていた。そのうちこの無理が表面化していることは必至である。これは安倍氏の幹事長起用で解決できるものではない。またこの人事によって、森・小泉派が官房と自民党の二つの金庫を握ったということの重要性を誰も指摘していないことが不思議である。



今週号は、筆者多忙のため、アップが遅れた。なお来週号のテーマは未定である。



03/9/15(第313号)「レポート総裁選・・その2」
03/9/8(第312号)「レポート総裁選」
03/9/1(第311号)「混迷の終始符」
03/8/25(第310号)「急がば回れ・・再び」
03/8/18(第309号)「自民党の総裁選に向けて」
03/8/4(第308号)「日本の実稼働率」
03/7/28(第307号)「設備投資の実態」
03/7/21(第306号)「企業経営と創造的破壊」
03/7/14(第305号)「頭が破壊されている人々」
03/7/7(第304号)「頭が混乱している構造改革派」
03/6/30(第303号)「経済の循環(その2)」
03/6/23(第302号)「経済の循環(その1)」
03/6/16(第301号)「経済政策の混乱」
03/6/9(第300号)「りそな銀行の件」
03/6/2(第299号)「規制緩和と日本経済」
03/5/26(第298号)「経済学と経営学」
03/5/19(第297号)「政府紙幣発行の認知度」
03/5/12(第296号)「滝田洋一氏への反論」
03/5/5(第295号)「政府紙幣発行政策の誤解」
03/4/21(第294号)「逆噴射の財政政策」
03/4/14(第293号)「危機管理下の経済政策」
03/4/7(第292号)「国債の管理政策」
03/3/31(第291号)「経済再生政策提言フォーラム」
03/3/24(第290号)「日本の有名経済学者達」
03/3/17(第289号)「波乱の株式市場」
03/3/10(第288号)「政府貨幣の理解」
03/3/3(第287号)「軽視される高橋是清の偉業」
03/2/24(第286号)「日本の清貧の思想」
03/2/17(第285号)「日本のデフレの原点」
03/2/10(第284号)「小泉首相の「もっと重要なこと」」
03/2/3(第283号)「スローパニック経済」
03/1/27(第282号)「所得を生むマネーサプライ」
03/1/20(第281号)「マネーサプライ政策の限界」
03/1/13(第280号)「データに基づく経済論」
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